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■「尼羅河魅影」(林斯諺)読了

ひさびさに台湾のミステリー小説を最後まで読み通した。林斯諺の「尼羅河魅影」(ナイル川のファントム)。表紙が萌え絵になっていて中には小型ポスターが付いているというラノベ仕様。
林斯諺作品ではおなじみの哲学者探偵・林若平のもとにスフィンクスと名乗る謎の人物から挑戦状が届き、「エジプト・ナイル川・紅海10日間の旅」ツアーへの参加を誘われる。
このツアーへの招待に応じた若平。ツアー中、若平と共にツアーに参加したメンバーのサングラスがなくなったりハンカチがなくなったりと些細なアクシデントが起こり……と最後まで殺人など深刻な事態は発生せず、エジプト観光のトラベルミステリー的な要素もあり、本来なら気軽に読める作品(私の中国語読解力のなさのせいで読むのに時間がかかってしまったが)。

作中で「霧影荘殺人事件」という随分前に書かれた作品にたびたび言及しており、時系列的に若い頃の若平のことを書いた作品なのかと思ったら、この作品自体2005年に書かれた作品の復刊だった。これが林斯諺の第一長篇だったのか。

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■ここが気になる「ぼくは漫画大王」2

今回も「ぼくは漫画大王」のネタバレが含まれるので、これから読もうという人はとばしてください。




前々回の記事で、帯にある内容紹介文の「ミステリーは第十二章から始まる。家出していた妻が自宅に戻ると、夫が殺され息子の健ちゃんは密室に閉じ込められていた……。」は間違いと書いたが、本文を読みなおしたところ、第二章で方志宏の息子が生まれたとき、方志宏が息子の名前を考え、「何があっても、この子の名前には絶対に『健』の字を入れるぞ。だってな……」といっているので、この紹介文も完全な間違いとはいえない。
とはいえ、本文を読んだかぎりでは実際に息子に「健」の付く名をつけたかどうかわからないし、本文中で息子を「健ちゃん」とは読んでいないので、やはりこの内容紹介文は適切ではないと言わざるをえない。

この「健ちゃん」(原文では阿健)が、小説のラストで方志宏と同一人物であることが明らかになるのだが、これが納得いかない。方志宏のあだ名が健ちゃん? 本名に「健」の字が入っていればこう呼ばれるのもわかるが(本文中で許家育が「太っ許」と呼ばれるように)、まったく関係ない。本名からとったあだ名以外に「ちび」みたいに体の特徴をとらえたあだ名や本人の性格や行動からくるあだ名もあるが、「健ちゃん」の場合、それにもあてはまらない。
もしかしたら原書では何かしら方志宏が健ちゃんと呼ばれるようになったわけのヒントでも書いてあるかと思ったのだが、見たかぎりではそれも見当たらない。
叙述トリックを成り立たせるためとはいえ、これは無理がありすぎるのでは。

さてこの作品、本文中で日本のコミックのタイトルが大量に出てくる。1970年代、まだ日本のコミックが台湾で海賊版として出版されていた時代の話で、翻訳時、コミックの元タイトルを突き止めるのも大変な作業だったと思う。「マジンガーZ」や「サイボーグ009」など有名な作品はわかるが、私も全然知らない作品もあり、本文内容とは別に興味を惹かれた。
たとえば、「わが名は101」。「バビル二世」の続編だそうだが、こんな作品が会ったことさえ知らなかった。

あと、第一章で出てくる「飛龍斬」。これはコミックではなくちょっと調べたところ香港映画のようだ。公開が1976年、殺人ブーメランが出てくる映画なので本文の内容と一致する。これもおもしろそう。

■ここが気になる「ぼくは漫画大王」

この「ぼくは漫画大王」を読んでいて、小説の内容とは直接関係はないのだがいくつか気になるところがあったので考えてみたい。

まず、方志宏(ほうしこう)というように、人名に対して漢字の日本語読みでルビが振ってあること。あれ、こういうのって中国語読みのルビを振るのが一番的なのでは? とりあえず手元にあった中国語からの翻訳小説「虚擬街頭漂流記」「錯誤配置」は両方とも中国語読みのルビが振ってあった。なお「ぼくは漫画大王」翻訳者の稲村文吾氏がKindle版で出している「現代華文推理系列 第一集」では人名にルビは振ってなかった。

さらに図書館に行って10冊ほど中国語からの翻訳小説を見てみたところ、10冊中6冊が人名中国語読み、2冊が日本語読み、2冊がルビなしという結果に。けっこうバラバラですね。

あと、「ぼくは漫画大王」は著者名にも胡傑(こけつ)というように日本語読みのルビを振っているが、これも少数派。10冊中著者名に日本語読みのルビを振ってあったのは2冊で、あとは中国語読みのルビなりアルファベットなりが振ってあった。

逆に日本語から中国語への翻訳の場合、人名の発音はどうしているのかとか、他の言語の場合どうなのかとか、いろいろ気になってくるがまたおいおい調べてみよう。

■「ぼくは漫画大王」

第3回島田荘司推理小説賞受賞作「ぼくは漫画大王」(著者・胡傑、翻訳・稲村文吾、原書名「我是漫畫大王」)がやっと翻訳出版された。原書が台湾で出版されたのが2013年9月だからもう3年近く前。もう翻訳出版されないのかと半ば諦めかけていたのだが、昨年、文藝春秋がクラウドファンディングを募り、翻訳出版にこぎつけた。
とはいえ、この島田荘司推理小説賞、受賞作は日本では文藝春秋から刊行されるというのがもともとの規定にあったはず。実際、第1回、第2回の受賞作品は台湾での刊行からほどなく文藝春秋から刊行されている。本来ならクラウドファンディングに頼らずともちゃんと刊行する義務があったと思うのだが。

さて内容だが、いきなり第十二章から始まるトリッキーな構成。.ある家で中年男性がナイフで刺し殺されているのが発見され、その家の中では子供が鍵のかかった部屋に閉じ込められていた。
このあと話は改めて第1章から始まり、奇数章では健ちゃんと呼ばれる子供の視点で、偶数章では方志宏という中年男性の視点で物語が進んでいく。健ちゃんは「週刊漫画大王」という漫画雑誌に出会って以来、漫画に夢中になり、いつしか漫画大王と呼ばれるようになるのだが、これが悲劇にもととなる。

(以下ややネタバレになるのでこれから本書を読む予定の人は読みとばしてください)





という叙述トリックの匂いがぷんぷん臭う構成で、実際予想の斜め上をいく、かなり無理のある仕掛けがあって楽しめる。

……のだが、ここで本書にはひとつ問題点がある。帯の表4側に書いてある内容紹介が明らかに間違っている。「ミステリーは第十二章から始まる。家出していた妻が自宅に戻ると、夫が殺され息子の健ちゃんは密室に閉じ込められていた……。」
いやいやいや、息子は健ちゃんじゃないし。たしかに本文でも読者の誤導を誘い、息子が健ちゃんであるかのような書き方をしているが、そこはフェアに方少年としか書いていない。「息子の健ちゃん」などと書いたら明らかに嘘になる。
帯の内容紹介文は著者や翻訳者は感知せず、編集者が書いていると思うのだが、この作品の肝になるところでこのミスは痛い。

■明日から台湾

明日22日から25日まで台湾に行ってくる。
今回は比較的短期な上、滞在も台北のみ。
23日に新竹に行って新竹女中の園遊会を見学する予定。

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moeruasia

Author:moeruasia
アジアの萌えとおたく情報を追いかけています。
「全アジア メイド喫茶カタログ」「萌えるタイ読本」などの同人誌をつくっています。

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